備忘録としての生活記録

知識は無いけれど芸術が好きなコミュ障インキャ芋ブスヲタクの戯言

MOMASコレクション第2期:埼玉県立近代美術館:~2020/10/18

 MOMASコレクション第2期:埼玉県立近代美術館

に行って参りました。

f:id:carameng:20200923151539j:plain

 埼玉県立近代美術館では、コレクションを企画として公開しており、今期のテーマは「異界/異形のコスモロジー」ということで、空いた時間で伺ってみました。

 お値段一般200円で規模も大きすぎないため、とても手軽に鑑賞が出来ます。

 また、来場者カードの記入や検温などの感染症対策も成されていました。

 

 ちなみに、展示室の手前で、こんな子がお出迎えしてくれます。

 お名前は『ムチ打ち症のサーカス熊』というそうですが、なかなか可愛らしいですよね…!

f:id:carameng:20200923153550j:plain

1.セレクション

 1つ目のテーマは、有名作品・埼玉県に縁のある作家による作品を集めた企画となっています。今回は、作品の対象として性をどうとらえるか、という現代的なテーマを掲げており、男性から見た女性・男性から見た男性という視点で作品が展示されていました。特に印象的だった作品をいくつかご紹介します。

 まずはブロンズ像である、オーギュスト・ロダンの『ウスタッシュ・ド・サン=ピエールの頭像』です。こちら、解説によると、旅立ちを目前にした軍人の悲壮感溢れる像だということですが、私にはそれだけでなく、確固とした意志や強さのようなものも感じられ、その何とも複雑な表情がとても印象的でした。

 セレクション内で最も印象的だったのは、何と言ってもジョルジュ・ルオーの『横向きのピエロ』です。見れば見るほど吸い込まれていくような、荒く深い色使いはいくら見ていても飽きません。単純に、好きな作家の一人です。

 次に、関根将雄氏『瓦職』です。こちらは、先の叙述に当てはめるならば「男性から見た男性」となり、解説によると、作者の容姿は貧相な方だったため一種の憧れを持って筋骨隆々の労働者を描いたのではないか、とのことでした。確かに、作品は生々しいところは無く、画材もきらきらしていて、非常に純粋な眼差しが見えるような気がしました。

 最後に、寺井力三郎氏『出発』です。一見、非常にシンプルな作品なのですが、淡くゆったりとした動きが感じられる色味や、何となく濁った雰囲気が印象的でした。近くで見ると境界が――曖昧な訳ではないのですが――ふわふわしており、その描写方法によるものなのかもしれません。

 

2.異界/異形のコスモロジー

 さて、とうとうお目当ての企画です!

 いくつか、特に印象的だった作品をご紹介します。

 一発目に何とポール・テルヴォ―の『森』。筆者は、どの作品にも宗教画のような神聖さがあり、温度が無く、それ故に童話の一頁のような世界を作り出している彼の作品がとても好きです。本作も、本来そこには存在し得ない筈の様々な要素が合わさりファンタジックな世界を作り出しています。作品には、彼が幼少時から好んでいたという汽車や、ミューズとしての女性が描かれていますが、作者にとって好意的なモチーフが描かれている絵の温かさは本当に素敵だと思います。これは単純に好みの問題なのですが、ダリのように嫌悪の対象を描くタイプの作品は、当然気持ち悪い印象を抱いてしまい少し苦手です。

 その点でも、堀田操氏の作品がとても好みでした!深海を描いた『対話』などは、一見、ダリを彷彿させる力強さのあるタッチで、生々しい生き物も描写されておりますが、本人の海に対する想いからか、気持ち悪さなど全くなく、つい見入ってしまう深く穏やかな作品でした。

  日和崎尊夫氏の版画作品もついつい見入ってしまいました。大変微細で、少し毒を感じますが、作品としてはとても穏やかな印象で、何となくルドンを思い出しました。

 本展には、あの草間彌生氏の作品もあります。原色と水玉、という雰囲気の彼女の作品はあまり好きではないのですが、彼女のニューヨーク時代の作品等初期の作品は結構好きです。今回の展示作も比較的初期の頃の作品で、最初期の「本当に目の前にあるものを描いている」頃から今のような鮮やかさに以降する中間の作品、という印象で、とても素敵な作品でした。

 出店久夫氏の作品も圧巻でした。作品自体が大きい事もその要因なのですが、人間味を感じさせず高みから笑われているような作風が印象的でした。また、一つ一つのモチーフや淡い色使いがとても可愛らしかったです。

 展示室の中央には、吉野辰海氏の『双頭狗』があります。2本足で立ち、骨を感じさせるほどやせ細った双頭の犬が身体をくねらせるその姿は、リアルだからこそ気味が悪いと同時に、本展の軸であったように思われます。

 

 今回紹介しきれなかった作品も含め、全体的に大変私好みの展示でした。まだ会期終了前ですので、興味のある方は気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。

 

おまけ

 グッズ売り場に、可愛いガチャガチャがあったのでついついやってきてしまいました!

 渡辺おさむ氏の『石膏スイーツミュージアム』です。

 私はメディチが出たのですが、この子、もともと眉間に灰色の斑点があって、それが西洋風のお顔なのにインドっぽくてさらに頭にイチゴだし――というカオスさを増長していて最高です。

f:id:carameng:20201009193342j:plain

 

『備忘録としての生活記録』著作権について - 備忘録としての生活記録

 

ーー2020/09/22

 

 

「MOMASコレクション第2期」
 場所:埼玉県立近代美術館
 会期:2020/07/18(土)~2020/10/18(日)

pref.spec.ed.jp