備忘録としての生活記録

知識は無いけれど芸術が好きなコミュ障インキャ芋ブスヲタクの戯言

映画『アメリカン・アニマルズ』:早稲田松竹:~2019/09/27

 映画『アメリカン・アニマルズ』:早稲田松竹

観てきました。

 近頃元気が無く、美術展になかなか行けずにいたのですが、映画は気軽に行けるから良いですね。

 さて、以下ネタバレになります。

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 初めての早稲田松竹さん。とても座りやすい椅子で快適でした。また、本編前の注意喚起映像がとっても可愛らしかったです。

 

 あらすじは下記でご覧いただければと存じますので、本ブログは簡単な感想を。

 

www.phantom-film.com

 

 パンフレットにも繰り返し示されていたように、この映画をを一言で表すなら「混合(ハイブリッド)」でしょう。外見は「ドラマとドキュメンタリーの融合」、そして内面は「真実と虚構の融合」。所々に出てくる本人の語り。ストーリーが進むにつれ、本人たちの顔つきもどんどん神妙になっていくのには、ぐっとくるものがありました。また、最後のシーンでウォーレンが虚構を語っていたのかもしれないと気づかされるシーンもとても印象的でした。監督はパンフレットで「物語をフィクション化することに興味があった」と語っていますが、主人公たちについて語る大人たち、主人公各々の証言、観客が目の前でみている映像、真実は垣間見えているのに、誰も真実はわからず、残るのは結局フィクションになってしまう。

 大学生は「モラトリアム」とも言いますが、全てを無邪気に楽しめる歳ではなくなり、現実に則った生き方を主体的に選ばなければならない歳になった大学生の彼らは、しかし大人になりきれず、きっと自分のもとには特別な何かが起こり、自分は特別な輝かしい人生を歩むのだろう、と期待します。そして彼らは子供ではないから、その為には行動が必要だと気付く。

 確かに、普通と違うことを画策する彼らは生き生きとしていました。しかし、彼らの計画は失敗する。それも、彼らが良くも悪くも普通の人間だったために。目の前の人間を傷付けてしまうことを恐れ、自分の犯罪という事実に怯え、不安から仲間に怒鳴り散らす。とても人間臭い。私は、彼らが彼らである限り、きっといくら周到に犯罪計画を立てても、犯罪を成功させられないんだろうな、と感じます。

 最後、司書のBJは「彼らは楽しようとしたから失敗した」と語ります。確かに、犯罪に手を染めなければ、彼らはまっとうに生きながら特別な人間になれたかもしれない。実際、チャズはすでに特別な人生を歩んでいた。しかし、もし彼らがこのまま普通に生きていったら、序盤にウォーレンが言った様に、「あの時(盗みを)やっていれば良かった」と、冗談半分で思う瞬間が訪れるんだろうな、とも思います。ウォーレンが、オランダに行き、バイヤーと面会したと語るのは、また、スペンサーがその証拠が無いと言いながらそれを否定しないのは、今でも「特別」を期待している証なのだろうと感じます。

 最後に、映像も音楽もとても素敵で可愛かったです。そこも、ドキュメンタリーに作り話の要素を加えていたように思います。

 

 とても面白い映画でした。

 

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 パンフレットもとてもお洒落でした。

 

 

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ーー2019/09/23

 

アメリカン・アニマルズ』
 場所:早稲田松竹
 機関:2019/09/021(土)~2019/09/27(金)